タバコは、私たちの身体に深刻かつ重大な病気のリスクをもたらします。タバコの煙には、ニコチンやタールをはじめとする数千種類もの有害物質が含まれており、吸うことで全身の細胞を傷つけてしまいます。結果、さまざまな病気を引き起こす原因となるのです。特に、肺がん、喉頭がんなどの呼吸器系の病気や、心筋梗塞や脳卒中といった循環器系の病気のリスクが大幅に高まるとされています。これらの病気は、治療に多大な時間と費用がかかるだけでなく、生活の質(QOL)を著しく低下させるものです。加えて、血管を収縮させ、動脈硬化を進行させる作用もあり、全身の血流を悪くして、認知症や歯周病といった病気のリスクも高めることがわかっています。
また、喫煙による弊害となるのが、ニコチンによる強い依存性です。ニコチンは、脳の報酬系と呼ばれる、喜びや意欲に関係する部分に作用し、快感をもたらす物質を放出させます。この快感を身体が記憶すれば、タバコを吸う行為が習慣化し、自分の意思ではなかなかやめられなくなってしまうのです。ニコチン依存は、自分の意志だけで克服するのは難しいため、禁煙補助薬、もしくは専門的な医療のサポートを受けるのが望ましいでしょう。依存症を理解し、適切な管理のもとで治療を受けるのが、禁煙成功への近道となります。さらに、喫煙は本人だけでなく、受動喫煙によって周りの人の身体にも悪影響を及ぼします。特に、小さな子どもがいる家庭では、子どもの呼吸器系の病気や、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを高めることが指摘されています。禁煙を成功させたいなら、喫煙による病気のリスクと依存性、周囲への影響をしっかり念頭に置いておきましょう。